2014 年 24 巻 1 号 p. 22-27
急性中耳炎に伴う両側混合難聴の2症例を報告した。症例1は37歳男性。2011年3月に感冒症状、両耳閉感が出現し、急性中耳炎と診断した。右耳65.0dB、左耳52.5dBの混合難聴を認めた。鼓膜切開排膿、抗菌薬およびステロイドの点滴静注にて右耳28.8dB、左耳30.0dBへと改善した。症例2は48歳女性。2011年9月に発熱、両耳閉感が出現し、右耳70.0dB、左耳55.0dBの混合難聴を認めた。両側鼓膜切開後、抗菌薬およびステロイドを投与し、右耳21.3dB、左耳15.0dBに改善した。
急性中耳炎による内耳障害の発症率は1.5~1.6%で、そのうち両側性は9.6%とされている。本邦では17例の報告があり、30~50代の成人に多い。内耳への炎症波及経路として、正円窓・卵円窓、内耳窓周辺のmicrofissure経由が考えられている。感音難聴反復症例の報告はなく、中耳炎の反復、慢性化に伴う正円窓膜の肥厚などの要因が推測された。