2014 年 24 巻 3 号 p. 188-194
今回、1992年から2012年の期間に手術治療を行った錐体部真珠腫15症例を検討した (中頭蓋窩法の際は脳神経外科と共同手術を施行)。病変の進展範囲はSannaらの分類に準じて検討したところ、迷路上型が9例 (60%) と最も多く、続いて広範迷路型が多く、5例 (33%) であった。術式としては中頭蓋窩法と経乳突法のcombined approachを施行したのが11例 (73%) と大半を占め、二期的手術を施行した8例中3例に真珠腫の遺残性再発を認めたが、全体としては13例 (87%) で病変完全摘出を施行しえた。機能保存としては術前顔面神経麻痺を認めなかった全症例で機能保存ができ、術前聴力が伝音難聴または混合難聴であった8例では1例を除き、残存聴力を保存しえた。これらの結果から、症例を選んだ上でcombined approachを行うことにより、病変の完全摘出および機能保存が期待されると考える。