2014 年 24 巻 5 号 p. 729-734
2005年~2013年に札幌医科大学医学部附属病院耳鼻咽喉科において耳小骨奇形の診断で手術を行った25症例29耳を対象とし、臨床的検討を行った。手術時の対象年令は3歳~64歳で、男性12名、女性13名であった。奇形の種類は舩坂らによる分類に従うと、I群が10耳、I+II群が2耳、I+III群が3耳、II群が6耳、III群が8耳であり、全例を舩坂の分類に当てはめることができた。術前平均聴力の気導値は50.0±12.9dBであり、全周波数に気骨導差を認める水平型の聴力像が最も多かった。術式はIII型が9耳、アブミ骨手術が6耳、IV型が6耳、骨性癒合などによる固着の解除のみ(I型)が5耳という結果であった。試験的鼓室開放術のみとなった症例の3例は、いずれもアブミ骨固着症例であった。試験的鼓室開放術のみの3例、および純音聴力検査が施行できなかった1例を除く24耳中、成功耳は22耳(92%)であった。再手術を要したのは3例3耳、両側手術を施行したのは4例であった。