Otology Japan
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原著論文
外耳道母斑細胞母斑の1例
丸山 絢子野口 佳裕高橋 正時喜多村 健
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2014 年 24 巻 5 号 p. 785-791

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抄録

外耳道良性腫瘍は比較的稀な疾患であるが、母斑細胞母斑はその中の23%を占め、診断と対応を熟知する必要がある。今回我々は、外耳道入口部を充満し、慢性中心穿孔性中耳炎を合併した外耳道母斑細胞母斑の1例を経験した。症例は56歳男性で、小児期から左難聴と左外耳道腫瘤を認めていた。左耳漏を自覚し、当院耳鼻咽喉科を受診した。初診時に左外耳道入口部に、後壁に広基性の基部をもつ黒色腫瘍を認めた。純音聴力検査では、中等度の左伝音難聴を呈した。生検にて母斑細胞母斑と診断された。全身麻酔下に外耳道腫瘍摘出術を施行し、術中に明らかになった鼓膜穿孔に対し鼓室形成術I型を行った。腫瘍は15×12×8mmの大きさで、最終病理診断も母斑細胞母斑であった。術後11カ月の時点で外耳道腫瘍の再発や外耳道狭窄はなく、聴力は改善した。

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© 2014 日本耳科学会
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