Otology Japan
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シンポジウム3
先天性アブミ骨固着症の難聴病態と手術
中島 崇博東野 哲也
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2014 年 24 巻 5 号 p. 829-833

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抄録

先天性アブミ骨固着は底板の単純固着から複合奇形を伴うものまで多彩な伝音難聴病態を呈する。宮崎大学及び鹿児島市立病院での耳小骨奇形症例188耳のうち、先天性アブミ骨固着及び複合奇形は62耳で、耳小骨奇形の33%であった。発生学的見地に基づく船坂分類を参考にして、手術の観点から複合奇形に対する分類の再検討を試みた。結果、キヌタ骨長脚からアブミ骨上部構造に至る領域で、同部位の複合奇形を3つのパターンに分類する事でより効果的術式選択が可能と思われた。アブミ骨固着を合併する奇形症候群のうち、Branchio-oto-renal (BOR) 症候群およびNOG遺伝子変異による合指症症候群 (Teunissen-Cremers: TC症候群) を比較すると、いずれも船坂分類の複合奇形ながら、術式、成績とも後者が良好であった。遺伝的素因を背景とした症候群性難聴の理解、人工聴覚器を含めた治療選択肢の適応理解など、高い専門性が耳科医に求められる。

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© 2014 日本耳科学会
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