Otology Japan
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招待講演
聴皮質生理研究の革新
佐藤 悠
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キーワード: 覚醒, 行動, 報酬, 聴覚野, スパイク
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2015 年 25 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

山梨大学生理学教室の14年間の聴皮質研究を総説する。覚醒ネコA1細胞には反応多様性があり一過性、持続性反応する。前者は興奮と抑制が時間交代し、後者は周波数交代する。前者は音エネルギー積分時間が短く(<2.5ms)、後者は長い(20ms)。前者は音の時間情報を符号化し、後者は周波数情報を符号化する。両者の反応相補性によりA1は広レンジの音のパラメターの符号化を行う。より高次の前、後聴覚野では両者の情報は並列分散処理される。高次聴覚野はA1の多様な情報のうち行動目的に合った情報のみを選択する。A1は個体の行動目的の有無に拘わらず音情報を符号化し、大脳腹側部の高次聴覚野は行動目的があるときのみ活動する。

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© 2015 日本耳科学会
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