Otology Japan
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原著論文
外耳道真珠腫手術例の臨床的検討
能田 淳平渡辺 太志佐伯 忠彦大河内 喜久
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2015 年 25 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

2009年1月から2013年12月までの5年間に当科で手術を行った外耳道真珠腫17例18耳について臨床的検討を行った。年齢は27から92歳、平均57.1歳であり、性別は男性が11例、女性が6例であった。側頭骨CTによる真珠腫の進展範囲は外耳道限局例が7耳、乳突部進展例が6耳、顎関節包進展例が5耳であった。Naimら3)による病期分類を用いるとIII期が6耳、IV期が12耳であった。手術では真珠腫と腐骨を完全除去後、外耳道を滑らかかつ平坦になるように形成・再建した。術式は、外耳道限局例の7耳と顎関節包進展例の5耳には外耳道形成術を行ない、乳突部進展例の6耳のうち、4耳に外耳道後壁削除・再建術 (硬組織再建) を、1耳に外耳道後壁削除・再建術 (軟組織再建) を、1耳に外耳道後壁削除術 (乳突開放型・後壁再建なし) を各々行った。外耳道が上皮化するまでに要した期間は10日から164日であり、平均65.6日であった。Naimら3)による病期分類III期が平均39.8日、IV期が平均77.4日となり、病期が進むほど上皮化に長期間を要する傾向がみられた。2耳 (11.1%) に再発を認めたが、外耳道限局型例の1耳は保存的治療を行い、乳突部進展例の1耳には再手術を行った。術後は外耳道の上皮化や真珠腫の再発に留意して慎重な経過観察が必要である。

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© 2015 日本耳科学会
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