Otology Japan
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原著論文
鼓室内に発生した外傷の既往のない神経腫症例
柳 嘉典矢部 多加夫岡田 和也中村 友香三橋 敏雄
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2015 年 25 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

手術によって神経腫の診断を得た、稀な鼓室内腫瘍の症例を経験したので、文献的考察を加えて報告した。症例は45歳、男性。半年以上前からの全身倦怠感、手足のしびれ、頭痛で近医を受診し、頭部MRIを施行したところ、偶発的に右鼓室内に腫瘤様陰影を認めたため、当科を紹介受診した。鼓膜所見では、弛緩部と後上象限部の上皮の菲薄化および陥凹と周辺の石灰化を認め、聴力は伝音難聴を認めた。鼓膜穿孔の既往はなく、上鼓室にも陰影を認めることから先天性真珠腫を疑い、鼓室内腫瘍摘出術を施行したが、結果は神経腫の診断であった。鼓室内に限局する腫瘤様陰影として外傷の既往のない神経腫 (neuroma) の報告例は我々が文献を渉猟しえた範囲ではない。鼓室内の神経原性の腫瘍として顔面神経鞘腫が挙げられるが、神経腫の診断がついた本例について、顔面神経鞘腫との比較検討を行った。

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© 2015 日本耳科学会
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