Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
原著論文
後天性二次性真珠腫7症例の検討
荒井 康裕高橋 優宏佐久間 直子松田 秀樹折舘 伸彦
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 25 巻 2 号 p. 104-110

詳細
抄録

後天性真珠腫の内、鼓膜の穿孔縁から上皮が入りこむ事で形成される真珠腫は二次性真珠腫と定義されている。当科で経験した二次性真珠腫症例について臨床的検討をおこなった。対象は、2005年から2010年までの5年間に当科で初回手術を行った後天性真珠腫111耳のうち、二次性真珠腫と考えられた7名7耳である。二次性真珠腫の特徴として、ツチ骨柄付近より表皮が鼓膜裏面へ侵入する、患者の年齢が高い、表皮の進展は深くない、耳小骨破壊の程度はかるい、穿孔性中耳炎としての経過が長いという事が報告されている。しかし、ツチ骨柄付近ではなくキヌタ骨長脚周囲や穿孔縁から鼓膜裏面を這うように真珠腫が進展するといった非典型的な進展形式を示す例を経験した。術後聴力成績は、患者合併症のため第二次手術を施行しなかった1例を除く6例で成功基準をみたした。真珠腫の再発は、段階的手術を選択し第二次手術を施行した1例で、アブミ骨底板上に遺残性真珠腫を認めたが、その他6例では再発を認めず経過良好であった。

著者関連情報
© 2015 日本耳科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top