Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
原著論文
癒着鼓膜に対して軟骨を用いた鼓室形成術の検討
桂 弘和三代 康雄大田 重人池畑 美樹都築 建三阪上 雅史
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 25 巻 3 号 p. 239-244

詳細
抄録

軟骨を用いた鼓膜形成はその堅さから陰圧に耐えうるとされ、海外では癒着鼓膜に対して広く使用されている。軟骨による鼓膜の作成方法には短冊状に軟骨を並べて鼓膜形成するPalisade cartilage tympanoplastyと、薄くスライスした軟骨を大きく1枚で用いる手法がある。当科では2006年からの6年間にPalisade cartilage tympanoplastyを41例、2009年からの4年間に48例に薄切軟骨を1枚で用いる手法を行い、両者の術後成績を比較検討した。聴力改善成功率はPalisade cartilage tympanoplasty群 (36例) が61%、薄切軟骨1枚群 (43例) が67%であった。Kaplan-Meier法による鼓膜の再癒着 (再形成) はPalisade cartilage tympanoplasty群では4%、薄切軟骨1枚群では11%で、両者に有意差は認めなかった。

著者関連情報
© 2015 日本耳科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top