2015 年 25 巻 5 号 p. 794-799
耳硬化症および中耳奇形に対し、2003年から2013年に行ったアブミ骨手術症例24例29耳(耳硬化症群18耳、中耳奇形群11耳)について、術式および原因による聴力成績を検討した。当科では術後合併症が少ないと言われるstapedotomyおよびstapedotomy-Mを中心に手術を行っている。今回の検討例では重篤な術後合併症は認めなかった。術式による聴力成績に差を認めなかった。stapedotomyおよびstapedotomy-Mで聴力成績には差はなく、ワイヤー締結部の差異は術後聴力成績に影響を及ぼしていなかった。病変部位に応じた的確な術式を選択することが大切である。
耳硬化症は中耳奇形に比べ、術後気骨導差が有意に小さかった。先天性アブミ骨底板固着症では耳小骨の固着以外にも何らかの難聴をきたす因子がある可能性がある。