2016 年 26 巻 2 号 p. 71-79
進行性の感音難聴を合併したANCA関連血管炎性中耳炎は、免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド投与により炎症 反応が陰転化するにもかかわらず、難聴が残存する症例を経験する。感音難聴を発症した症例の聴力予後と、内耳造影 3D-FLAIR MR画像の関連性について、8例16耳(男性1名2耳、女性7名14耳)の検討を行った。初回撮影時の造影後MR画像の蝸牛信号強度は聴力不変例と聴力改善例では有意差が無かったが、造影前後の比は正常聴力例に比べて聴力不変例では有意に高値であった。聴力改善例の造影MR画像では蝸牛高信号は減弱もしくは消失していたが、聴力不変例では造影MR画像で蝸牛高信号が残存もしくは増強していた。3D-FLAIR MR画像はANCA関連血管炎性中耳炎の内耳障害の状態把握の一助となりえる。