2017 年 27 巻 5 号 p. 677-679
我々は、以前より酸の内耳に及ぼす影響を、酢酸を用いて曝露時間やpH、浸透圧を変化させることで検討してきた。今回は、pHを4、浸透圧を300±20mOsmに統一した3種類の酸(ギ酸:分子量46、酢酸:分子量60、プロピオン酸:分子量74)を中耳腔内に投与し、分子量の違いが内耳に及ぼす影響について、蝸牛複合電位(compound action potential:CAP)を測定して検討した。3剤ともに30分後ではCAPの閾値上昇はなかったが、24時間後で閾値上昇を認めた。中耳腔内に投与された酸は、その分子量が異なっても同様に内耳毒性を有する可能性があると示唆された。