Otology Japan
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原著論文
小型霊長類コモンマーモセットの側頭骨局所解剖に関する画像解析
藤岡 正人疋島 啓吾岡野 ジェイムス洋尚若林 健一郎山田 雅之大石 直樹畑 純一小川 郁
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2017 年 27 巻 5 号 p. 680-688

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抄録

基礎研究の結果を臨床応用する「橋渡し研究」において、臨床症候をなるべく忠実に再現する動物モデルの存在は重要であり、創薬研究では齧歯類と並行して大動物が用いられることが多い。マーモセットは動物実験に汎用される旧世界サルと比べて、小型で繁殖力もあり、温厚で扱いやすく新規導入のハードルが低い。全ゲノムも解読され遺伝子改変も可能なため実験動物としての将来性も高く、齧歯類モデルで症候が再現できない遺伝性難聴や、内耳再生のように種差が予想される研究への応用が期待される。今回我々はこの小型霊長類コモンマーモセット(Callithrix jacchus)の側頭骨解剖につき、CT、高解像度MRIを用いて検討した。内耳、鼓室内(耳小骨を含む)の構造はヒトと極めて類似していた一方で、乳突蜂巣は未発達で単洞を呈していた。頭蓋や中耳に比して内耳が大きく、耳後切開による内耳への薬剤局所投与を検討するモデル動物として適していると考えられた。

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© 2017 日本耳科学会
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