ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)の寛解導入治療開始後の聴力経過について検討した。OMAAV症例15例25耳を対象とし、治療開始1週間、1ヶ月、3ヶ月目の気導、骨導それぞれの聴力経過を後方視的に調査し、聴力改善経過と治療効果との関連、治療効果に関わる因子について検討した。その結果、治療開始後3ヶ月で治癒・著明回復に至った症例の割合は56%であり、聴力固定時期は約8割の症例で治療開始1ヶ月以内であった。平均気骨導差は治療前後で24.2dBから5.4dBと有意な改善を認めた。初診時骨導聴力が保たれている症例(55dB未満)、治療開始早期(1週間以内)に20dB以上の気導聴力改善を認める症例ほど、寛解導入治療に対する聴力改善が良好であった。