2018 年 28 巻 3 号 p. 123-126
多くの先天性真珠腫は鼓室に発生し、経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)のよい適応と思われる。本報告ではTEESを行った先天性真珠腫23耳と顕微鏡下耳科手術(MES)を行った6耳の結果を示す。年齢は1歳から13歳(中央値3歳)で、平均経過観察期間は40.6か月であった。TEES群は、stage Iaが14耳、IIbが1耳、Icが3耳、stage IIが5耳であった。鼓室形成術I型が18耳で、III型が3耳で、IV型が2耳で行われていた。MES群は全例stage IIで、後壁保存型鼓室形成術が段階手術で行われていた。聴力成績は、TEES群22耳中21耳で、MES群6耳中5耳で「成功」であった。合併症はなく、再発例はない。stage Iの先天性真珠腫はTEESで手術されるべきである。乳突洞に進展のないstage IIもTEESの適応となる。先天性真珠腫の治療でTEESの導入は、有効、安全で低侵襲な鼓室形成術を可能にした。