Otology Japan
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テーマセッション8
IGF1による人工内耳挿入時蝸牛障害の保護
山本 典生山原 康平西村 幸司扇田 秀章中川 隆之伊藤 壽一大森 孝一
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2018 年 28 巻 3 号 p. 127-131

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抄録

残存聴力活用型人工内耳手術では、低音の閾値上昇を起こさないように、経正円窓アプローチ、細くて柔らかい電極の使用、ステロイドホルモン剤投与などが行われているが、純音閾値上昇は避けられない。

一方我々は、これまでにインスリン様成長因子1(Insulin–like growth factor 1, IGF1)には蝸牛有毛細胞傷害から有毛細胞を保護する作用があることを様々な内耳性難聴モデル動物を用いて示し、突発性難聴に対して徐放性ゲルを用いた臨床試験を行い聴力回復に一定の効果を確認した。

人工内耳挿入による聴力低下の原因の一つが有毛細胞死であること、人工内耳手術時には蝸牛鼓室階に薬剤の投与が容易であること、IGF1には有毛細胞のプログラム細胞死を防ぐ効果があること、臨床試験では難聴発症後短期間であるほどIGF1の効果が高いことなどから、我々は人工内耳挿入による聴力低下にIGF1が有効ではないかと考え、動物モデルを用いて検討を行った。

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© 2018 日本耳科学会
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