2019 年 29 巻 1 号 p. 45-51
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は初期において耳症状が主症状であることが多い.今回我々はEGPAの臨床像を明らかにするために,耳症状を主症状とするEGPAの一症例を呈示し,さらに自験例のEGPAと好酸球性中耳炎の臨床所見を比較した.EGPAに特徴的な耳内所見はツチ骨周囲と外耳道後壁の肉芽性炎症であり,造影3次元T1強調画像(3D-SPGR法)から示唆された後耳介動脈炎との関連が考えられた.他方,合併する難聴やめまいは別の血管炎の存在も考えられた.また好酸球増多症や末梢神経障害,顔面神経麻痺はEGPAに特徴的な臨床所見であった.これらの所見を認めた場合は積極的な全身検索を行うことがEGPAの早期診断につながると考えられる.