Otology Japan
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原著論文
メタボローム解析を用いたミトコンドリア機能異常による加齢性難聴の原因解明
三輪 徹蓑田 涼生魏 范研折田 頼尚富澤 一仁
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2020 年 30 巻 3 号 p. 191-196

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抄録

ミトコンドリア(mt)機能異常は,老化や加齢性難聴に影響を与えることはよく知られている.また,mt異常症の一部では,mt-tRNAの化学修飾の欠損がその発症の原因であることが明らかになっている.mt-tRNAの化学修飾はコドン解読の際の誤翻訳の防止に必須であり,化学修飾の欠損は誤翻訳を惹起し,電子伝達系タンパク質合成を減少させ,活性酸素の産生を誘起し組織傷害を起こすと考えられている.今回我々は,mtの機能異常に伴う加齢性難聴の発症メカニズムを探るために,mt-tRNA化学修飾が欠損しmt機能異常が認められているcdk5rap1ノックアウトマウスを用いて,加齢による内耳での代謝性変化について検討を行った.メタボローム解析の結果,加齢性難聴が発症する段階で,内耳内にmt機能異常を示す,好気呼吸・嫌気呼吸・解糖系代謝産物であるフマル酸,ピルビン酸,乳酸に変化がみられることが明らかとなった.このことより,加齢性難聴の発症にmt機能異常が関与することが代謝レベルで明らかとなった.

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© 2020 日本耳科学会
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