Otology Japan
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原著論文
側頭骨CTを用いた鼓室洞形態の検討
窪田 俊憲伊藤 吏松井 祐興新川 智佳子欠畑 誠治
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2021 年 31 巻 3 号 p. 327-333

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抄録

鼓室洞は解剖学的特性からdifficult access siteに分類され,鼓室洞形態によって内視鏡と顕微鏡を適切に使い分け病変摘出を行う必要がある.これまで日本人を対象にCTでの鼓室洞形態の検討は認められず,また,鼓室洞形態に影響する因子は不明である.今回,日本人正常中耳の鼓室洞形態をCTで分類し,鼓室洞形態と年齢・乳突蜂巣発育との関連について検討した.側頭骨CT軸位断を用いて鼓室洞を深さ順にType A,B1,B2,Cの4つに分類した.65例130耳を検討した結果,Type Aが23.8%,Type B1が60.8%,Type B2が13.8%,Type Cが1.5%であった.鼓室洞形態と年齢・乳突蜂巣発育程度の間には,有意な相関関係を認めなかった.本研究の結果より,中耳手術を行う際には症例ごとにCTで鼓室洞形態の評価を行い,鼓室洞病変に対する手術計画を立てる必要がある.

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© 2021 日本耳科学会
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