Otology Japan
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テーマセッション11
内耳の病態に迫る前庭刺激検査―マウス回転検査を用いたシスプラチンによる半規管障害の検討
滝本 泰光今井 貴夫花田 有紀子宇野 敦彦鎌倉 武史北原 糺猪原 秀典
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2021 年 31 巻 4 号 p. 371-375

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抄録

シスプラチンの聴器毒性は広く知られている.また,前庭器毒性による眩暈の副作用も報告されている.多くの動物実験でシスプラチンによって前庭感覚細胞が障害されることは報告されているが,生存しているマウスを用いた前庭機能を評価した研究はほとんど報告されていない.我々は,240 Hzハイスピードカメラを用いたマウス回転検査装置を新たに開発し,マウスの半規管機能の評価を可能にした.その検査装置を用いて,シスプラチン投与後の半規管機能を評価し,障害の程度を明らかにした.振り子様の水平回転運動で誘発される前庭動眼反射を測定して外側半規管機能を評価した.結果は,シスプラチン投与後,外側半規管機能は高周波数回転時でのみ有意に障害されていた.視運動性眼振は障害されていなかった.本研究の結果から,シスプラチンによる半規管に対する影響を調べるには高周波数を刺激する検査が必要と考えられた.

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