2003 年 72 巻 12 号 p. 1503-1508
化学,生物分野だけでなくナノスケール・エレクトロニクスの世界でも分子が重要な役割を演じることが期待されている.分子が活躍する ‘舞台’ の一つはナノスケール電極であろう.将来,分子素子がシステム・オン・チップの一端を担うことも視野に入れた電極作製手法が望まれる.Bell研の研究者によって報告された分子単層膜電界効果トランジスタは高性能の分子素子として注目されたが,昨年データねつ造論文の一つとして否定された.しかしながら,いくつかのグループが検討を行い,分子スケール素子の設計指針が明らかになってきた.分子素子開発の経緯と新しく開発された分子スケール電極を用いた分子導電性評価の実験結果について概説する.