2003 年 72 巻 12 号 p. 1522-1526
量子ホール効果やメゾスコピック系についてはすでに教科書の世界という認識もあるが,これらの中で生じるキャリア相関,さらに相関に基づくコヒーレント状態に着目することにより新しい物性研究がここ数年で急速に進展している.これらの研究はそのほとんどが高品質な半導体構造を用い,極低温で理想的な状態を実現し,その物性を探求する段階にあるが,量子コンピューターにつながる現象や,半導体中でのキャリア超流動など夢のあるものが多い.本稿では,これら半導体量子構造における物性研究の新しい側面を紹介する.