2003 年 72 巻 9 号 p. 1136-1142
プレーナ技術によるシリコンの微細加工に支えられてきたCMOSデバイスの高性能化は,数々の物理限界要因を迎えるようになってきた.こうした状況にあって,最近,MOSFETのチャネルにフィン(Fin)型構造を用いたFinFETが注目されてきている.これは,チャネルに立体構造を用いることで,チャネルの制御性を高め,また,大きな電流駆動力が得られるためである.このフィン型チャネル構造は,現在のLSIで用いられているプレーナ技術により形成できるため,今後のCMOS性能向上を図るうえで,重要な素子となることが考えられる.ここでは,デバイス構造や特性について,この構造が選択されてきた背景とともに紹介する.