発見以後17年にわたる銅酸化物超伝導体に関する研究の進展を,最新の話題も含めて物質科学的視点から解説する.まず,銅酸化物超伝導体の化学組成,結晶構造の特徴をあげ,物質探索の足跡を合成手法の変化とあわせて述べた.次に銅酸化物超伝導体の本質的な基礎物性の理解を促した高品質単結晶の育成について記したが,ここでは金属および酸素組成の不定比性の制御が重要であったことを強調した.最後に,銅酸化物超伝導体の臨界電流特性の特徴を異方性と磁束線の性質および磁束ピニングサイトの観点から論じ,最近の化学組成制御による強力なピニングサイトの生成例を紹介した.