2006 年 75 巻 9 号 p. 1140-1143
SiCはワイドバンドギャップ半導体の代表格として魅力的な物性をもつことから,従来のSiデバイスでは達成できないような大電力・超低損失デバイスへの応用が期待されている.高性能かつ高信頼性のSiCデバイスを作製するためには,高品質のSiC単結晶基板が要求される.本稿では,結晶成長の方位と結晶性との関係を利用した高品質SiC単結晶成長手法と,作製された結晶の結晶品質について紹介する.本手法によって作製された単結晶は,これまで問題とされてきたマイクロパイプ欠陥を含まず,より微細な欠陥である転位欠陥も従来に比べて2〜3けた少ない密度にまで低減された.また,低転位密度結晶のX線トポグラフィーによる解析から,SiC結晶中の転位ネットワークの基本構造が明らかとなった.