ナノ構造技術,ナノテクノロジーは,物質をナノメートルスケール(10-9 m)で制御して発現する多彩な機能とその応用を取り扱う分野で,物質開発とデバイス作製に関する究極のテクノロジーであり,新しいサイエンスを生み出す場でもある.本稿では,2010年3月に応用物理学会が作成したアカデミック・ロードマップおよび発展史マップに基づき,ナノ構造技術における将来ビジョンを同分野の発展史も含めながら概観する.ナノ構造技術の将来ビジョンのメインマップでは,①デバイス・プロセス,②ナノ計測,③ナノ材料の3分野に分けてその将来展望を記述している.またメインマップに加えて,それぞれの分野に対応して,「ナノ構造技術の発展」,「ナノ構造作製・評価技術(SPM)の発展」,「カーボンナノチューブ技術の発展」と題する3枚のサブマップを作成している.本稿ではこれらの分野の展望を簡単に述べる.