2013 年 82 巻 2 号 p. 141-145
機能性酸化物.この言葉を聞くだけで心踊らせる研究者は数知れない.酸化物研究の最大の魅力は,電子や格子の複雑な作用により多彩な機能が発現し,さらに,驚くべき物性が“いまだに”発見されるという点である.新奇物性探索の大きな原動力が薄膜作製技術であり,それを駆使して薄膜,ヘテロ構造や表面・界面において新機能を引き出すことが先端研究となっている.その薄膜作製の際に,酸化物の成長を原子スケール分解能でその場観察することにどのような意義があり,どのような結果が得られるのか.それを我々の研究結果を基にここで論じ,この研究の将来性の豊かさを強調する.