波長安定化レーザーの光周波数を測る,水素原子の精密分光を行う,といった基礎物理学のニーズから提案・開発されてきた光周波数コム技術は,物理学の世界で20世紀中に起こったイノベーションである.当初の光周波数のものさしとしての役割に加え,時間軸・周波数軸で極限まで制御された広帯域・多色光源としての応用研究も大いに発展しており,21世紀の基盤技術となることが約束されている.国際光年の今年,Hall博士・Hänsch教授のノーベル物理学賞受賞から10年の節目にあたり,この光コム技術をわかりやすく解説する.