2019 年 88 巻 10 号 p. 673-677
金沢大学の有機系太陽電池を研究するグループは,電極材料を工夫することによって,大気中で塗って作製できる高耐久の逆型有機薄膜太陽電池(逆型OPV)の開発に世界に先駆けて成功した.ここでは,その先駆けとなった化学浴析出法により作製したアモルファス酸化チタン(CBD-TiOx)薄膜を電子捕集層とした逆型OPVについて概説し,現在世界のさまざまな企業から発売され始めたOPVモジュールの基礎となる技術を紹介する.また,さらなる高耐久性や高性能化を導き出す可能性のある金沢大学でのOPV分析技術と分子レベルからの高性能化技術を紹介し,OPVの将来像について議論を行う.