応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
研究紹介
アルカリと遷移金属を含有するリン酸塩ガラスの特異な結晶化
本間 剛小松 高行山内 英郎佐藤 史雄
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2019 年 88 巻 3 号 p. 194-197

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抄録

自動車産業は100年に一度の変革期を迎え,電動モビリティへのシフトが活発になっている.その重要な役割を担うのがリチウムイオン電池であるが,電池の大型化と需要拡大に伴って元素戦略,環境負荷,そして安全性の面で新たな課題が顕在化しつつある.その課題解決には,レアメタルに依存しない電池開発や全固体電池といった次世代電池が期待される.筆者らは酸化物ガラスの結晶化による機能性セラミックスの創製に取り組んでおり,そのアウトプットの1つとして電池材料開発を進めている.電池の主要部材である正極活物質においては主に遷移金属酸化物が用いられている.本稿では特にアルカリと酸遷移金属酸化物を多量に含有するリン酸塩ガラスの結晶化機構と,ナトリウムイオン電池における活物質としての機能性について解説し,産学連携により試作に成功した新規な酸化物全固体電池のコンセプトと今後の展望について紹介する.

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© 2019 公益社団法人応用物理学会
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