2019 年 88 巻 4 号 p. 276-280
プラズモニックカラーは周期性に基づくフォトニック結晶的な構造色と異なり,回折限界に匹敵する極めて高い解像度を実現できる.しかし,金属の光吸収に伴う彩度の低下が問題であった.筆者らは高い屈折率をもつ誘電体であるシリコンに着目し,単結晶シリコンからなる誘電体光アンテナをミー共振器として利用することにより,損失が少なく高彩度で高い解像度をもつカラーピクセルを実現した.また,ミー共振器上にクロムマスクを付加することで,さらに解像度を向上させることに成功した.この構造色は光の回折限界に近い解像度をもつことが可能であり,カラー画像に用いれば,理論上最も細かい文字や絵を描くことができる.これは,工業製品などの偽造防止技術やディスプレイなどへの応用が期待される.