応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
解説
走査型透過X線顕微鏡の新展開
武市 泰男
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2020 年 89 巻 9 号 p. 509-514

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抄録

軟X線の走査型透過X線顕微鏡(STXM)法は,放射光X線を数十nmに集光し,試料を走査して透過像を得る手法である.STXMは本質的にX線吸収分光法のナノスケール顕微版である「顕微分光法」であり,元素敏感,官能基や価数といった化学状態を識別できる,偏光を利用して分子配向や磁性に関する情報が得られる,などの特徴を有する.我々はこれまで,放射光実験施設フォトンファクトリー(PF)においてSTXMの開発を行い,利用研究に供してきた.本稿では,まずSTXMの原理や特徴について解説する.さらに,STXMの官能基敏感性を利用して有機薄膜太陽電池のドナー・アクセプタ分子の混合状態を定量的に求めた例や,X線磁気円2色性により希土類磁石の磁区構造を可視化した例について述べ,STXMでどのような情報が得られるかを紹介する.

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© 2020 公益社団法人応用物理学会
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