2021 年 90 巻 1 号 p. 24-30
吸収分光法を用いたプラズマ診断技術は,プラズマ内部の活性粒子を定量的に計測できるため,プロセスプラズマにおける粒子反応過程を理解するうえで重要な役割を果たしている.本稿では特に,プロセスプラズマ内で生成される原子種の密度計測に使用される真空紫外吸収分光法について解説する.まず原理的な説明として,比較的簡便なプラズマ光源を吸収分光に使用する場合においてプラズマ光源に求められる特性や,計測された粒子による光吸収率からその密度を求める際の注意点について述べる.また,応用例として基材上での粒子の表面損失確率の計測や,プラズマプロセス中の原子密度のリアルタイム計測,そして近年盛んに応用研究が進められている,大気圧プラズマのバイオ応用プロセスの吸収分光計測の実例について紹介する.