応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
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高性能電気2重層キャパシタへの応用を目指した導電性ナノダイヤモンドの開発
近藤 剛史
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2021 年 90 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

高比表面積な導電性ダイヤモンド粉末材料としてボロンドープナノダイヤモンド(BDND)を開発し,水系電気2重層キャパシタ用電極材料への応用を検討した.粒子径5nmのナノダイヤモンド粒子を基材として,マイクロ波プラズマ化学気相成長(CVD)法によりその表面にボロンドープダイヤモンド(BDD)層を形成させることでBDNDを得た.実際にはBDNDはsp2炭素成分が含まれており,650m2g-1程度の比較的大きな比表面積を有することがわかった.また,BDNDは電解質水溶液中で広い電位窓を示し,1MH2SO4中の対称2電極系でのサイクリックボルタンメトリー(CV)では,1.8Vのセル電圧を印加可能であることがわかった.大きなセル電圧に基づいて,BDND電極では従来材料である活性炭電極を用いた場合よりも水溶液電解質中の充放電において高エネルギー密度かつ高出力密度を示した.安全な電解質水溶液を利用でき,小型化も可能なため,ウェアラブルデバイスなどへの応用が期待される.

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© 2021 公益社団法人応用物理学会
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