2021 年 90 巻 10 号 p. 610-616
3次元アトムプローブ(APT)法は原子レベルに近い空間分解能で,試料を構成する元素の実空間分布を得る手法である.ハードウェア・ソフトウェア両面の高度化が進むことで多種多様な材料や微細なデバイス構造の有力な評価法として注目されているが,データ取得の成否は試料準備および加工のよしあしに大きく依存する.本稿では,集束イオンビームによる高度な微細加工技術を駆使したテクスチャ(非平面)上の試料切削例を紹介するとともに,最新のAPT法の活用例として高性能シリコン太陽電池を構成する非結晶層中の水素の定量解析法,水素検出を介したヘテロ接合や微結晶粒の可視化について解説する.