2021 年 90 巻 3 号 p. 155-161
高強度・大出力パワーレーザーの小型化は,高エネルギー物理から物質・生命の探索に有用な粒子加速に新たな局面をもたらすとされている.大型コンピュータのマイクロチップ化に刺激を受け議論が始まったマイクロ固体フォトニクスは,30年を経てレーザー粒子加速に大きなインパクトを与えつつある.一方,パワーレーザーの小型集積化は,高強度レーザーに関わる製造業,社会インフラメンテナンス,レーザー点火などエネルギーからテラヘルツ波による安心安全,さらには医療など広い分野で革新をもたらすと期待される.本稿では,その源泉となる近年のマイクロドメイン制御の深化と,可能となりつつある小型集積レーザーがもたらす展望に関して議論する.