蓄光材料は,光吸収によって長時間発光するため,電源不要の光源として利用されている.既存の蓄光材料は全て無機化合物で構成されているのに対して,我々は有機半導体デバイスを応用した有機蓄光システムを実現した.有機蓄光は可溶性,柔軟性,波長制御の容易性,持続可能性など無機材料とは異なる特色をもち,これまでにない蓄光の用途開発が期待される.本稿では,有機蓄光システムの基本的な構成と発光原理について紹介する.また,発光プロセスの制御因子として高次3重項励起状態の寄与についても説明する.さらに,電荷保持と光刺激発光など有機蓄光システムの応用についても紹介する.