応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
研究紹介
カーボンナノチューブの光・熱物性制御によるフレキシブル全方位テラヘルツ撮像検査チップ
河野 行雄
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 90 巻 5 号 p. 303-307

詳細
抄録

高度な工業製品やインフラストラクチャの普及に伴い,さまざまな環境下で製品や建造物の信頼性や安全性を確保するセンシング技術の創出が急務となっている.テラヘルツ(THz)帯の電磁波を用いたイメージング技術は,対象物を非破壊で検査するための有望な計測法の1つと期待されている.そのため現在,可視光域のように汎用的・簡便に使用できるTHz計測システムが求められている.本稿では,単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)フィルムを用いたフレキシブルな全方位THz撮像チップとその検査応用について紹介する.SWCNTs THzセンサの検出性能に関わる物理パラメータをチューニングし,その最適化に基づいてフレキシブル全方位THzイメージャやウェアラブルTHz検査グローブを開発した.これにより,対象物の形状や測定環境に制限されない自由度の高い非破壊検査が可能となった.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人応用物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top