応用物理
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電気信号による水平自動制御装置の試作
高橋 清横山 成昭勘久保 広一及川 朋
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1977 年 46 巻 8 号 p. 836-839

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抄録

最近,姿勢制御の開発につれてたとえば,飛翔体,船舶,車両等において,それらに塔載されている計測器の設置条件により,ある部分の基台面のみを水平に保ち,常に外部の動揺を取り除く必要性が生じてきた.また,輸送中における安定性等からも,同様な要求が生ずるものと考えられる.そこで,本報告では,これらの目的のための基礎研究として,水平面上における直交2軸から常に操作を受けるように設置した平板をもつ試験基台に外乱として動揺を与え,このような状態でも平板が常に水平制御されるモデルを試作した.従来,このような修正動作を加える構造のものとして,ジンバル方式によるものが速応性に優れている構造として,種々の機器に用いられている.しかしながら,ジンバル方式は制御機構が複雑なため,制御対象に対して装置全体が大きくなり,対象の形状が大きい場合,および重い場合には不適当である.そこで,当研究室では,速応性はジンバル方式に比べて劣るが,大きな形状の対象物を電気的に制御できる構造の装置とした.この構造の特徴は,ジンバル方式では困難な,修正動作を与える機構が同一基台上に取り付けられる利点があることである.すなわち,装置の機構が比較的単純で,その形状が大きくならないことである.この制御装置は,平板の傾斜角をバーティカルジャイロスコープによって検出する構造となっている.以下にこの研究結果について述べる.また,それとともに,この試作装置のステップ応答特性,周波数応答特性をも併せて記す.
本実験の結果,工学への一応用として船舶などの緩やかな動揺の除去等にも広く応用されることが確かめられた.

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© 社団法人 応用物理学会
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