1982 年 51 巻 8 号 p. 902-910
半導体と金属の(接触)界面はそこでの整流作用(ショットキー障壁の形成)の発見からトランジスタの発明を導き, 現在の半導体物理学と(超) LSIで代表される半導体工業の発展をもたらした.しかし,界面のミクロな研究は最近始まったばかりである.これによると, SiやGaAsなどの半導体が金属と接すると両者は霊温でも簡単に(固相)反応し合金界面が形成されることがわかる.強い共有結合をもつ高融点 (1400°C) のSiの格子が,金属との接触で,かくも低温にて破壊される機構の解明には界面形成の初期過程の観察が必須である.本文では電子分光法とこの数年来急速に進歩したイオン散乱法を用いた,初期過程における界面の電子的および原子的構造変化を通しての硬究現状を, si-Au系を中心に紹介する.