1985 年 54 巻 3 号 p. 230-234
A15型Nb3Ge薄膜は,現在形成しうる材料中,最高の超伝導臨界温度Tc(〓23K) を示すが,形成温度が高く,また,きわめて厳密な形成条件の制御を必要とする.これらの難点を除くことを目的として二光系Nb3GeのGeの一部をSiで置換した三元系Nb3 (Ge1-xSix) スパッタ膜を形成し,その構造・超伝導特性と膜組成・形成条件の関連性を調べた. Si置換率を制御することにより, A15型結晶粒の格子定数減少・形成温度低下,および高Tc膜が形成される膜組成・膜厚範囲の拡大が生じる.また,このようなSi置換膜では,膜構造とTcが,下地層の結晶性の影響を強く受けることが明らかとなった.