光化学ホールバーニング現象は,不均-に広がった吸収帯に埋もれた固体分子スペクトルを直視する高分解能分子分光法として開発された.その後,現在の光ディスク系の精報記録密度の上限を一挙に103倍以上も増加させる光多重メモリ-実現の可能性が指摘されて以来,大きな期待が寄せられている.ここでは,ホールバーニングの基礎過程を,分子分光法としての側面を中心に,活性分子と媒質の役割を明確にしつつ解説する.キ等ザリン系色素を中心に光反応の実例を紹介し,高分子媒質に関する最近の研究結果をもとに,ガラス非晶質に特有な,非平衡構造緩和とホールスペクrトルの形状との関係を議論する.