酸化物超伝導体のバラエチィーは,ここ2年足らずで急拡大し,また,その物性と材料としての特性もかなり明らかとなった.超伝導体としてこれらの物質は,特にキャリア数の低い点,コヒーレンス長の短い点を特徴とするが,クーパー対形成に立脚している点では,従来材料の延長上で,その現象論は理解できると考えられる.しかしながら,電子構造は通常の金属とは性格を全く異にしており,かつ,超伝導機構も従来知られるフォノン機構単独とは思えない.このような意味で,酸化物超伝導体の研究は,材料としての実用化を図るうえでも,従来の概念を超えた柔軟な発想を必要としているように思われる