1989 年 58 巻 10 号 p. 1453-1462
時間的にインコヒーレントな光を用いた,ピコ秒・フェムト秒領域の超高速非線形公光法について概説する.スペクトル幅の広いインコヒーレント光によるフォトンエコ一では,パルス幅に関係なく,そのスペクトル幅の逆数に等しい時間分解能で,位相緩和時間 T2 を測定することができる.この方法の原理的説明につづいて,位相緩和に対する物質の多準位性の影響や,連続発振多モード半導体レーザーによる,簡便なサブピコ秒インコヒーレント光フォトンエコーについて解説する.準位分布緩和時間 T1 が,インコヒーレント光を用いて灘定できることについても述べる.