1989 年 58 巻 4 号 p. 605-609
ICの技術開発を業務としている企業の研究所の立場から大学院の問題を考える.世界一になりつつある日本のIC産業の基盤である研究開発を担当してきた技術者の多くは大学院卒だから,少くとも今までの大学院は成功しているといえる.しかし今後は,海外技術ただ乗り論,知的所有権問題への対応のためにも,世界の産業に恩恵を及ぼす新概念の基本技術を,今までよりずっとたくさん産んでいく必要がある.そのためには,企業の努力も必要だが,大学や企業で,より独創的な研究ができる研究者をたくさん育ててほしい夫学院が持つ課題を,米国の大学とも比較しつつ整理し,二,三の提言を行っている.