フタロシアニン系化合物の面配列型分子集合体薄膜の電気特性を調ベてきた.そのなかで,鉛フタロシアニン薄膜に,分子の積層方向と垂直に電圧を印加したとき,スイッチング現象が現れることを見いだした.このスイッチング現象では,最初のオフ状態が印加電圧の大きさと印加時間に依存してオン状態になる.それは電圧を除いても一定時間保持されるが,逆バイアスをかけると,元のオフ状態に可逆的に復帰する.一般に薄膜での現象は,材料固有の物性と関連づけて解析すると,さまざまな困難がつきまとう.これらの挙動について,分子の配列構造の変化という観点から,現象論的な解釈を試みた結果について紹介する.