1991 年 60 巻 3 号 p. 220-226
電気化学的に誘起された核融合反応は,世界の数多くの研究グループによって,その再現性が試みられた.結果としてこの2年間,この現象の虚実を明確にする決定的な結果は得られていない.その主な原因は,現象の再現性の低さ:にあり,それゆえ,問題点を克服するためには,電極材料,電解条件,および計測法などに含まれる,数多くの因子を明確化しなければならない.この研究課題の展開の紹介と,パラジウムをカソードとした重水の電気分解に関する基礎知識を紹介し,現象の問題点を明らかにしたい.