応用物理
Online ISSN : 2188-2290
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氷の表面および界面微細構造と結晶成長
古川 義純
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1992 年 61 巻 8 号 p. 776-787

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抄録

氷結晶の表面は,結晶の温度が融点近傍になると一次の相転移の一種である表面融解を起こす.表面融解により生じた擬似液体層(表面融解層)の物理的性質が偏光解析法をはじめいろいろな手法により明らかになりつつある.その結果,氷の{0001}面では-2°C以上で,{1010}面では-4°C以上で表面融解が起こり,擬似液体層の構造や物理的性質はバルクの水に近いことが明確に示される.一方,表面融解を起こした表面が氷の結晶成長とどのように関わっているのかが,雪の晶癖変化および成長速度と擬似液体層の自己拡散係数との関連を例に述べられる.さらに,氷と基板との界面,および氷結晶の粒界における融解転移現象と,氷の結晶成長に対するそれらの役割についても述べる.

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© 社団法人 応用物理学会
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