1993 年 62 巻 10 号 p. 1028-1031
半導性繊維を用いた赤外線センサーの熱時定数,静止体検知および出力電圧の各特性について調べた.熱時定数は繊維の長さ,本数および径の組合せによって制御できた.静止体検知は5時間にわたり静止体からの放射赤外線を安定に検出できた.出力電圧と熱時定数は比例関係を示し,出力電圧は半導性繊維の物性と構造によって制御できた.新しく開発した高電圧パルス処理法は,赤外線センサー特性を損なわずに,電気抵抗値のみを低下できた.高電圧パルスによる部分処理法は,高サーミスター定数を有する繊維を使用できるために,出力電圧の改善に有効な方法である.半導性繊維赤外線センサーは静止と移動の両物体を検知できる簡便な赤外線センサーとして期待できる.